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不思議体験

シンヤさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

生成された女
短編 2026/09/13 23:22 62view

私は正直、AIの仕組みなんてよくわかりません。
学習データがどうとか、ノイズがどうとか、そういう理屈の問題かもしれない。
そう、慰めるように言ったんです。

でも、彼はもう、聞いていなかった。

……電話の向こうで、Tがぽつりと言いました。

「なあ。……この女、だんだん、こっちに近づいてきてるんだよ」

最初の絵では、障子の向こう。
次は、座敷の隅。
その次は、女性のすぐ後ろ。

そして、最新の一枚では——

カメラの、こちら側を、覗き込んでいる、と。

私は、その絵を送ってくれ、と頼みました。
Tは、しばらく黙って……やがて、「もう消した」と答えた。

「消したけど……あのさ」

「部屋の、鏡に映るんだよ」

「……画面を消しても、鏡の中に、あの女がいるんだ」

私は何と言葉を返せばいいか、わからなかった。
しばらく、互いに黙ったままでした。

やがて、Tは、ぽつりと言いました。

「……悪いな。夜遅くに。また、連絡するよ」

——それが、Tの声を聞いた、最後でした。

翌週、彼のアパートを訪ねましたが、Tは留守で。
大家さんの話では、数日前から、姿を見ていない、と。

……部屋の中は、綺麗に片付いていました。
パソコンだけが、電源が入ったまま、机の上に置かれていた。

画面には、生成された絵が、一枚。

縁側に座っていたのは、Tでした。

その背後の障子の手前に、
うつむいた、着物の女が——満足そうに、微笑んでいました。

……皆さんも、どうか、お気をつけて。
「生成」というのは、厖大(ぼうだい)なデータの海から、「何か」を引き上げる行為です。

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