廊下の突き当たり。
僕の記憶にはない壁だった。
「ここ、昔からありました?」
「……分かりません」
測量士が壁を軽く叩く。
コン、コン。
他の場所とは少し音が違った。
「中が空洞になってるかもしれません」
「空洞?」
「昔の家だと、収納を後から潰して壁にすることがあります」
壁の下に置かれていた物をどけると、
小さな扉があることに気づいた。
這って入れるような大きさの、
物置の扉のようだった。
「ここ、開けられますか?」
僕はしゃがみ込んだ。
取っ手に手をかける。
しかし、
動かない。
鍵がかかっている。
「鍵、あります?」
「いや……」
そんなものがあることすら知らなかった。
測量士は、
「無理に開けない方がいいですね」
と言った。
「解体するときに分かりますから」
僕もそう思った。
その日はそれ以上、調べなかった。
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