「中、見せてもらってもいいですか?」
「もちろん」
僕は鍵を開けた。
玄関を開ける。
中には、
母が最後まで使っていた家具や衣類、
古い新聞、
空になった段ボール。
ほとんどゴミ屋敷だった。
「これは……片付けるの大変そうですね」
「業者に頼むつもりです」
僕はそう答えた。
測量士が庭で土地の面積を確認している最中。
僕は、各部屋を回っていた。
居間。
台所。
父の部屋。
母の部屋。
そして、
僕が高校生まで使っていた部屋。
懐かしいというより、
知らない家を歩いているような感覚だった。
母と20年以上会っていなかったせいだろう。
自分が育った家なのに、
もう自分の家ではない。
そう思った。
⸻⸻
屋内に戻ってきた測量士が、
「この壁、少し厚いですね」
と言った。
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