彼女は何度も首を振った。
「ごめんなさい。」
「本当にそっくりだったから。」
その日の帰り道。
私はどうしても気になり、戸籍をもう一度開いた。
死亡した浩一の欄に、鉛筆で小さく書き込みがある。
役所の書類に鉛筆書きなど、本来ありえない。
そこには、
「美咲には伝えないこと」
と書かれていた。
翌日。
私は山田由美さんの家を訪ねた。
仕事の確認という名目だった。
応接間には家族写真が飾られていた。
父。
母。
男の子。
女の子。
四人が笑っている。
その隣には、小学校の卒業写真。
男の子だけが写っている。
写真の裏を見ると、
「浩一 卒業記念」
と書かれていた。
十一歳で亡くなったなら、小学校を卒業できるはずがない。
「この写真……。」
私が尋ねると、由美さんは静かに答えた。
「卒業したのは、美咲です。」
私は意味が分からなかった。
由美さんはアルバムを持ってきた。
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