「山田」
とだけ書かれている。
特に変わったところはない。
ただ、郵便受けの横に、古い粘着テープの跡が残っていた。
なにか、紙を貼っていたような跡だった。
数日後。
私は意を決して、由美さんを訪ねた。
戸籍調査の仕事で確認したいことがある、と伝えると家へ入れてくれた。
部屋にはたくさんの写真が飾られていた。
家族写真。
旅行の写真。
子供の成長記録。
その中で、一枚だけ気になる写真があった。
幼い男の子と女の子。
両親と一緒に写っている。
4人家族の写真。
裏には母親が書いたであろう字でこう書かれていた。
「浩一、美咲。最後の家族旅行」
「浩一さんは…どうされたんですか?」
そう聞くと、由美さんの表情が変わった。
しばらく黙ったあと、小さな声で言った。
「あなた…浩一くんのこと調べたのね。」
「亡くなったんですか?」
由美さんは首を横に振った。
「違う。」
「消えたの。」
意味が分からなかった。
由美さんは古いアルバムを持ってきた。
そこには昔の家族写真が並んでいた。
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