一年生。
二年生。
三年生。
どの学年にも「浩一」が写っている。
しかし、六年生になると、写真の裏にだけ小さく書かれていた。
「本当は美咲」
「事故の日ね。」
由美さんは話し始めた。
「浩一は美咲を助けて死んだの。」
「主人は耐えられなかった。」
「毎日、美咲を見ては『浩一』と呼ぶようになった。」
「最初は間違えているだけだと思っていた。」
「でも一年、二年と経つうちに……。」
「学校も、病院も、近所も、みんな浩一と呼ぶようになった。」
「訂正しなかったんですか?」
「できなかった。」
由美さんは泣きながら言った。
「美咲まで、自分を浩一だと思い始めたから。」
私は息をのんだ。
「そんなこと……。」
由美さんは立ち上がり、古い鏡を持ってきた。
「見て。」
鏡の裏には幼い字で書かれていた。
「みさき」
その上から、黒いマジックで、
「こういち」
と何度も何度も書き直されていた。
その夜。
私は眠れなかった。
由美さんの言葉が頭から離れない。
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