部屋の空気が、一気に冷たくなりました。
その瞬間。
鏡の中から、赤い服を着た長い黒髪の女が現れたのです。
女は無表情のまま、ゆっくり手を伸ばし…。
鏡越しに私の首を締め始めました。
冷たい指が食い込み、息ができない。
視界が暗くなり、私は意識を失いました。
気がつくと、真っ暗な世界にいました。
そこには、さっきの赤い服の女が立っています。
焼けただれた顔。
血走った目。
女はゆっくり私に近づき、布団を剥がそうとしてきます。
恐怖で体は動きません。
その時でした。
暗闇の中から、おばあちゃんが現れます。
手には、あの呪われた手鏡。
鏡を女へ向けた瞬間…。
女は耳を裂くような悲鳴をあげ、そのまま鏡の中へ吸い込まれていきました。
目を覚ますと、おばあちゃんが静かに話してくれました。
昔、この家には「みれい」という少女が住んでいました。
彼女は自分の顔を見るのが大好きで、その手鏡をいつも持ち歩いていたそうです。
しかし、火事で顔に大火傷を負い、美しかった顔を失いました。
鏡を見るたびに絶望し、やがて鏡そのものを憎むようになったのです。
その強い怨念が、手鏡に宿ってしまいました。
あれから何年も経ちます。
でも、私の頬の黒い痣は今も消えていません。
そして夜になると、ときどき鏡の中から誰かに見られている気がするんです。
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