『お前さんが生きていた場合だ。』
三
私———真由———が母を連れて妹———玲———の部屋へ行くと、既(すで)に玲は息絶えていた。
死因は、広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)。蝸牛や蛞蝓(なめくじ)などを生で食べ、寄生虫に感染するという物だった。その寄生虫が脊髄や脳の中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい)へと侵入し、炎症を起こす事で脳に障害が出来たり死に至るのだ。
確かあの日、駄菓子屋に行く前に私の家の胡瓜を食べた。私は洗ったけれど玲はちゃんと洗わなかったかもしれない。そこに小さな蛞蝓が付着していたのだろう。
私が言ったのだ。「胡瓜が大きくなってきたから食べよう」と。
私の所為なのだ。
私は妹———人を殺してしまったのだ。
その時、窓の外からお爺さんがこちらを見て言った。
「おらぁ死神だ。その子を生き返らせたいかい?」
私はこくりと頷(うなず)く。
「じゃあ、代わりになる子を連れてきな。そしてその子を殺すんだ。」
急いで台所にあった出刃包丁を手に持ち、外に出て偶々(たまたま)そこに居た少女の手を引く。
その少女の服には、
「日代」
と書かれた名札があった。
そして私は「血液」という生温かい雨を、下から上へと、逆さに浴びた。
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