奇々怪々 お知らせ

ヒトコワ

montageさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

第二ボタン
短編 2026/07/17 15:29 74view

高校生の時、私には同級生の彼氏がいました。
卒業式の前日、私は彼に「明日、第二ボタンちょうだいね」と言ってあったのに、当日彼に会うと既に第二ボタンがなくなっていたのです。
私は嫉妬心を露わにして「誰にあげたの?」と問い詰めましたが、彼は「いや、テニスしてる間になくなってたんだよ…」と気味が悪そうに答えました。嘘をついている感じでもないし、そんな人でもなかったのでひとまず信じて、話を聞くことにしました。

なんでも、彼は卒業式の後に部活仲間と部室に集まり、写真を撮ったり、進路のことを話したりしていたらしい。そのうち「最後にみんなで打ちに行こう!」となって、部室で着替えて、コートに出てテニスをしていたらしい。そして、部室に戻って制服に着替えようとしたら、学ランの第二ボタンがなくなっていたという事でした。
私は「なにそれ?怪しいな~」と言いながらも、彼が神妙な面持ちで話していたので、内心本当なんだろうなと思っていました。渋々第三ボタンで我慢したのですが、ここで彼が
「そういえば…」と何かを思い返すように話し始めました。
「前にもウェアがなくなったことあったんだよね」
「え?どういうこと?」
それは半年ほど前、彼が学校帰りに通っていた学習塾で、自転車のかごに入れておいた部活のウェアがなくなったことがあったらしい。塾では筆記用具とテキストしか使わないため、部活後の汚れたウェアは、いつもスポーツバッグに入れて、外の自転車のかごに置きっぱなしにしていたらしい。そして、塾の講義が終わって出てくると、それがなくなっていたのだそうだ。部室にでも忘れたかなと思って、その日はいつも通り帰ったらしいのですが、結局見つかることはなかったらしい。
その話を聞いて、彼の気味悪がる表情に妙に納得した記憶があります。

なぜ今更、高校時代の話なんかするのかというと、昨日その第二ボタンとウェアが自宅に届いたからなのです。

私たちは関東方面の大学に進学しました。同じ大学ではありませんでしたが、距離が近かったこともあり、そのまま交際は続き、お互い東京で就職をして、数年後めでたく結婚しました。
そして今、地元を離れて暮らしているこの家に、突然届いたのです。
差出人の名前はありません。
丁寧に磨かれたスポーツバッグの中に
きれいに畳まれたウェアと
当時のままの第二ボタンが…
そこには手紙が添えられていました。
そして、その手紙には
『もう必要なくなったのでお返ししますね。ありがとう。』

と書かれていました。
その丸みを帯びた独特の筆跡を見た私はピンときました。
どこかで見覚えが…

すぐにクローゼットの奥に眠る卒業アルバムを引っ張り出して、最後のページを開く。
数々の寄せ書きが書かれている中、その一番最初に見つけた。
“しおり”の名前を。
私の親友だったしおりの名前を。
間違いない…しおりの字だ。

しおりとは高校1年生の頃、同じクラスで席も近かったことから、仲良くなり、一緒の部活に入って、3年間何をするにも一緒でした。
卒業後、関西方面の大学に進学した彼女とは疎遠になってしまいましたが、彼女と過ごした時間は、青春を共にした良い思い出として、心に残っていました。

1/2
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。