嫌な汗が流れた。
急いで頭を流し、石鹸で顔を洗う。
鳴き声は止まらない。
「ワオーン。」
「ワオーン。」
「ワオーン。」
気づくと窓の外側にいる声量で鳴いている。
顔を洗い流した瞬間、彼は気づいてしまった。
あれは犬じゃない。
人間が、犬の鳴き真似をしている声だ。
全身の血の気が引いた。
彼は風呂から飛び出し
濡れたまま二階の自室へ駆け込む。
窓を開け、真下の風呂場を見下ろえた。
そこには誰もいなかった。
鳴き声も、もう聞こえない。
この話を聞いた時、俺は
「変な人がいただけなんじゃない?」と言った。
すると彼は少し考えてから、ぽつりとこう言った。
「でもさ……あの声、最後まで一度も息継ぎしなかったんだよ。」
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