8.
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僕は白い靄の中に佇んでいた。
周囲は全く見えない。
時間が経つにつれて靄が薄くなり、次第に周囲が見えるようになる。
薄暗い湿地帯のような場所。
その奥に誰かが立っている。
それは、優斗だった。
「優斗!」
僕は駆け寄ろうとするけど思うように進めない。
いくら足を動かしても、距離は全く縮まらない。
「だ・・・・だよ」
僕に向かって何か言っている。
「何だよ、聞こえないよ」
僕は足を止め、必死に耳をそばだてる。
「でんでんむしは、・・も夜も、晴れ・・も雨の日も、街・・をいっぱい・・・んだよ」
「それはとってもた・・・んだ。つらいことな・・・一つも・・んだよ」
「人間だった・・も忘れちゃったけど、つらいことだって、か・・いことだって
わ す れ ち ゃ っ た ん だ あ あ あ あ
そこにいたのは、巨大なカタツムリだった。
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「はあ、はあ」
久しぶりに悪夢に魘された。
体中に寝汗が纏わりついている。
なぜ今になってこんな夢を見たのだろう。
窓の隙間からはけたたましいアブラゼミの鳴き声が聞こえてくる。
「楓!早くしないと朝練おくれちゃうよ!」
1階から母の声が聞こえる。
そうだ。早く行かないと。
そういえば数学の宿題もやってなかった。
早く行って雄介にでも見せてもらおう。
起き上がろうとした瞬間、背中の中央に何か凸凹した違和感を覚えた。
シーツの中に何かが入ってるのだろうか。
シーツの下に手を入れるが、何もない。
「何なんだろう・・・ まあいいか」
そう思いながら立ち上がり、何となく背中を掻くと、何かに手が当たる。
それは、背中の内部組織と完全に同化した、黄土色のカタツムリの殻だった。



























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