「あはは!あはははは!」 ドアの外で女が笑う。 そして、信じられないことを言った。
「あ、こっちじゃなかった」
ピチャ、ピチャ、ピチャ。 裸足で濡れた廊下を走る足音が、私の部屋の横を通り過ぎ……ベランダ側へと回り込んでいく音がした。
頭が真っ白になった。 ベランダの窓。 換気のために、数センチだけ開けたままにしていた。
「あああああ!!!」 私は叫びながら部屋を横断し、ベランダの窓に飛びついた。 すき間から、ニチャアッと笑う女の顔が半分だけ差し込まれていた。 「みーっけ」
私は無我夢中で女の顔面に向かって窓枠を叩きつけた。 「痛ッ!」という短い悲鳴が聞こえた瞬間、窓を完全に閉め、クレセント錠を全力でガチャンと下ろした。 直後、ドン!!ドン!!と窓ガラスが割れんばかりの勢いで外から叩かれた。 私は窓から離れ、震える手で警察に電話をかけた。
「た、たすけて!窓の、外に、女が!」 電話が繋がったまま、私は部屋の隅でうずくまり続けた。 10分ほどしてパトカーのサイレンが聞こえると、外の気配はスッと消えた。
駆けつけた警官2人が周囲を捜索してくれたが、女の姿はどこにもなかった。 ただ、ベランダの窓ガラスには、泥と血が混ざったような手形がびっしりとついていた。
事情聴取中、別の警官が私の隣の部屋、103号室のドアが開いていることに気がついた。 「君、隣の人と付き合いある?」と聞かれたが、ないと答えた。 警官の一人が103号室の中を確認に入った。 数分後、その警官はひどく青ざめた顔で出てきて、私にこう言った。
「君、今すぐ財布とスマホだけ持って、このアパートから離れなさい。今日は警察署の仮眠室を使っていいから。明日の朝、荷物をまとめたら即座に引っ越すこと」
「え……隣の部屋に、何があったんですか?」 私が尋ねても、警官は首を横に振るだけで、絶対に教えてくれなかった。 ただ、インカムで応援を呼ぶ際、「至急応援頼む。103号室、壁一面に……いや、とにかく来てくれ。普通の状況じゃない」と震える声で話していたのを聞いてしまった。

























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