「返してくれよ、頼むよ」
声が震えて、さっきまでのにこにこした笑顔が恐ろしく見えた。
「いただいたものなら返せるんですけど、破棄しちゃったものはもう無理なんですよ」
「じゃあ、別れてくれ、彼女じゃなくていい」
「そんな悲しいこと言わないで下さいよ。
一度失ったら、もう元には戻りませんよ」
腕に何かが擦り付けられた感覚があった。
けど、もう彼女がどんな顔をしているのかは見えなかった。
――わたしは最後まで、あなたの彼女ですよ。
真っ暗な視界の中、彼女の優しい声だけが聞こえた。
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