大学1年の頃の話。
今でも、あれが何だったのか説明できない。
俺は当時、一人暮らしをしていた。
築30年くらいの古いアパートで、家賃は安かったけど特に事故物件とかではなかった。
最初の半年は何もなかった。
異変が起きたのは夏休みに入った頃。
夜中、寝ているときに目が覚めることが増えた。
理由はわからない。
物音がしたわけでもない。
ただ、急に目が覚める。
時計を見ると決まって午前3時前後だった。
最初は気にしていなかった。
だがある夜、目が覚めた瞬間に違和感を覚えた。
部屋の隅に置いてあるハンガーラック。
そこに掛かった服の間から、何か白いものが見えた。
顔だった。
人の顔みたいに見えた。
心臓が跳ね上がった。
だが電気をつけると何もない。
服の影がそう見えただけだった。
そう自分に言い聞かせた。
でも、その日から毎晩気になるようになった。
寝る前に必ず確認する。
何もいない。
なのに夜中に目を覚ますと、そこに誰かが立っている気がする。
もちろん見えない。
ただ「いる」と感じる。
説明できない感覚だった。
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