それは、木下さん自身の生首だった。
「ひっ……!」
私は思わず悲鳴を上げ、スマホをベッドに放り出した。
数分後、恐る恐るスマホを拾い上げると、グループトークはさらに異常な事態になっていた。
美咲がいくら「不気味な画像送るな」「退会させるよ」と書き込んでも、木下さんのアカウントから、全く同じ「生首の写真」が何度も何度も送られてくる。
そして、またメッセージが木下さんのアカウントから届いた。
『みつけてくれた人に、あいにいくね』
既読の数字を見る。
深夜2時半。クラスのほぼ全員が、このリアルタイムの恐怖を目撃していた。既読数は「29」。クラスの総人数から、木下さんを除いた全員の数字だった。
その直後、美咲の書き込みがあった。
「ふざけないでよ。私の部屋の窓、さっきから誰かが叩いてるんだけど」
それきり、美咲からの返信は途絶えた。
翌朝、ニュースを見てクラス中が騒然となった。
木下さんは、学校を休み始めた最初の日に、自宅のクローゼットの中で自ら命を絶っていたという。警察が発見したとき、遺体はすでにかなりの日数が経過していた。
つまり、昨夜のメッセージも、あの写真も、すでにこの世にいなかった木下さんが送ってきたものだった。
そしてもう一つ。
美咲が、行方不明になった。彼女の部屋の窓ガラスは、内側から激しく叩き割られたような跡が残っていたというが、彼女の姿はどこにもなかった。
警察の捜査が入り、私たちの「裏グループトーク」はいじめの証拠としてすべて押収された。
スマホは警察に没収され、私たちは全員、厳しい取り調べを受けることになった。
それから1年が経ち、私たちはそれぞれ別の高校へと散り散りになった。
あの事件以降、私は新しく買い直したスマホに、恐怖でメッセージアプリを入れられずにいる。
でも、時々考えてしまう。
あの夜、木下さんが送ってきたメッセージ。
『みつけてくれた人に、あいにいくね』
あの時、あのグループトークの画面を開いて、メッセージをリアルタイムで読んでしまった「既読29」の全員が、木下さんを「見つけてしまった」のではないだろうか。
美咲が消えた今、次は、誰のところに、彼女が会いに来るのだろう。



























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