「なにもおかしくないけど?」
「いや…なんか俺の横に知らない女が写ってんだよ。めちゃくちゃ俺の事見てるんだけど。お前絶対加工しただろ」
そう言ってケンジから送られてきた写真には、確かに女が写りこんでいる。
青い服を着て、満面の笑みでケンジを見つめる女が。
恐ろしい。一瞬で冷や汗が吹き出した。
「いや、加工なんてしてない。心霊写真ってやつか…。もう消せよそれ、送り直すわ」
そう言って送り直した写真では、女は確認できなかったようで、
「ありがとな。今消したわ。こえー」
と笑っていた。
その日、俺はその女の顔を思い出して寝ることができなかった。
その翌日からだった。ケンジはやけに怪我をしたり、体調を崩すようになった。
挙句の果てには車にはねられ、足の骨を折る重症を負い入院した。
ケンジは言う。
「あの写真、やっぱりダメなやつだったんだと思う。お前には黙ってたけど、あの写真、消しても消しても次の日にはカメラロールの中にまた入ってんだよ。」
そう言いながら、枕元のスマホを取り出すと、アルバムの中からあの写真を見せてきた。
「悪い、どっかのお寺でこの写真見せて相談してきてくんねえか。俺、今病院出れねえからさ、もう耐えられないんだ。」
あまりの悲痛なお願いに、俺は了承せざるを得なかった。
後日、俺はバイクを走らせて写真の供養や人形供養など行っているというお寺まで足を運んだ。
事前に電話で経緯は説明してあるため、到着してすぐに住職が出迎えてくれた。
俺は改めて写真を見せ、経緯を話す。
この写真を撮った場所、日時、全てを話した。
全てを聞き終えた住職は、おもむろに俺のスマホを手に取り、写真を凝視する。
しばらく見た後、優しい声音で言う。
「そのお友達と、今連絡が取れますか?」
俺は急いでケンジに電話をかける。3コールくらいで出たケンジは寝起きなのか、眠そうだった。
住職にスマホを渡すと、変わらず優しい声で語る。
「ケンジさんですね。お話お伺いしました。写真も。大丈夫、安心してください。あれは優しい表情をしています。あなたの守り神…。そうですね、守護霊と言った方が伝わりますか。」
コホン、と咳払いを挟み続ける。
「怖い思いをした事でしょう。しかし、あなたは現に事故に遭っても怪我ですんでいる。あの守護霊がいなければ、ということですよ。」
その後も住職はひたすら大丈夫、安心なさいと伝えて、スマホを俺に返す。
ケンジは先日までの悲痛な声ではなく、どこか吹っ切れた様子だった。



























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