老い先短い年寄りの戯言だ。
ぜひ、最後まで聴いていってくれ。
ワシがまだ若く、20代そこそこの若造だった頃の話だ。
“首吊り双六”という噂を耳にした。
あがれば何でも願い事が叶う――そういう触れ込みだった。
誰に聞いたのかも分からん。
いつの間にか知っていた。
そんなある日、山で農作業を終えて家に帰っているときだった。
近道をしようと獣道を通っていると、一件のボロ小屋が目に付いた。
別に興味もなかった。
早く帰って飯を食おうと思っていたからな。
「6」「首吊り」「一分」
急に声が聞こえたかと思うと、首に縄が掛かっていて吊り上げられた。
咄嗟に手で紐を掴んで耐えていて、気づけば椅子に座っていた。
「3」「切断」「指三本」
また同じ声が聞こえたかと思うと、右手の指が三本切り落とされ、血まみれだった。
机の上には双六の紙があって、その上には赤黒い駒と賽があった。
マスには何も書いてなかった。
机には三人の子供が座っていたが、男か女かは分からなかった。
今だから、双六とわかるだけで、その時は何が起こっているのかすらわかってなかった。
「1」「貫通」「杭一本」
そいつらが順に声を発していた。
腹に一本の杭が刺さっていた。
「5」「消失」「聴力」
途端に耳が聞こえなくなった。
「3」「首吊り」「三分」
それでもそいつらの声だけは聞こえていた。
死にたくない一心で、わけもわからず腕に力を込めていた。
周りを見ると、小屋の中には吊られた死体と輪がいくつもぶら下がっていた。
そこかしこに骨も転がっていた。



























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