「うっわ、美味しい~~~・・・(アール・グレイってこんなに美味しいもんだったっけ・・・それになにこのスコーン。スコーンって言ったらパッサパサで口の中の水分全部取られるものだと思ってたのに、しっとりしてて、小麦の味がほんわか優しくて・・・それにこのクリームとジャムがまた絶品、最高~信じられない美味しさ・・・)」
その様子を孫でも見るかのように眺めているマザー・エレノア。
「おいしいかい?」
「ハイ、信じられないくらい美味しいです」
「私はクリームを塗ってからジャムをトッピングする(デヴォン式)のが好きなんだけど、リリベットはあなたと同じで先にジャムを塗ってからクリームを盛る(コンウォール式)のが好きだったわねぇ・・・」そう語るマザー。
「へぇ~・・・」おとなしく聞く朽屋。
「リリベット・・・エリザベス女王陛下のことだよ」とダン。
ブっ、と一瞬吹き出しそうになり、あわてて口を抑える朽屋。
・・・・・・・・・・・・
会議室のモニタに映像が流れ、作戦概要が説明される。
「結論から言うと、我々はマドゥロを逮捕したいと思っている」とダン。
朽屋は驚いた。
「逮捕って・・・外国の元首を逮捕なんて、そんなことして戦争にならないんですか?」
「あぁ。正式な戦争遂行には議会の承認が必要になるが、今回はCIAが中心となって活動し、マドゥロを麻薬犯罪・テロ組織の首謀者として逮捕するつもりだ」
「麻薬っていうより、本当は石油が狙いなんじゃないんですか?」
「うん、まぁそれもある。ベネズエラの石油精製所にはもともと我々の技術が使われていたのだが、今は経済制裁の裏をかいてイランと手を結び、中国への販売を拡大している。できるだけ早くベネズエラとは関係を正常化して、石油利権を我々の手に戻したいとは思っているよ。イランや中国へのけん制にもなるしね」
「正直ですね、議長」
「中南米は我々の裏庭だ。庭は美しくあるべきだよ」
「だとしても、できるんですか、そんなこと」
「すでに隣国のコロンビアとガイアナには話がついている。ガイアナはベネズエラと領土問題をかかえているし、コロンビアはベネズエラから100万人もの難民が殺到して社会問題になっている。なぁに、その二か国にはおとなしく黙っていろと言っているだけだ。ベネズエラに味方するのはキューバくらいのものだろうが、それも問題ない」
「大した自信ですね。で、どうやって逮捕するんです? 作戦は? 」
「作戦の一部はすでに始まっている。南方軍をカリブ海に展開してベネズエラからの麻薬密輸船を空爆しているところだ。11月になれば空母も展開して本格的に海上封鎖をする」
「空爆・・・拿捕とかではないんですか」
「我々は彼らを『麻薬テロ』だと認識している。マドゥロが支援している麻薬組織『太陽のカルテル』は単に麻薬の密売で金儲けを企んでいるのではなく、麻薬によって我が国の衰退を狙っていると考えている。いずれやつらが密輸しているフェンタニルを「大量破壊兵器」に分類し、今後はテロ組織認定する予定だ」
「なるほど、周りからじわじわと・・・これは対麻薬戦争だ、対テロ戦争だとしてあくまでも国同士の戦争ではなく、マドゥロの犯罪としたいわけですね」
横からマザーが口をはさむ。
「ふふ、やり方がCIAそのものでしょ。ダンは元々CIAの軍事担当副長官をしていたのよね」
「ははは。でも私は一度退役した身ですからね。これからのんびり暮らそうとしていたのに、突然呼び出して復帰させたのは大統領ですから」



























Manaです。自分で書いてて一番楽しい、朽屋瑠子シリーズ。今回は今年初めに大事件の起こったベネズエラを舞台に、朽屋の活躍を描いたものなります。少年と絡むことで、オネショタ好きな界隈には受けたかもしれないですね。途中から登場のミゲル隊長は自分の中ではランバ・ラルのイメージです。
ところで、自分的に一番ショックだったのが、これを書いてる最中にアメリカがイランを攻撃しちやって大変なことに・・・せっかく最新の戦場を描こうとしたのに、もう古くなってしまいました。
現実の方が物語より早いし、そんなシナリオ描けません。
まさかトランプさん、エプスタインとかから目をそらしたくてこんなことしてんじゃないでしょうね~なんて思ったり。
一応物語はフィクションということで、お楽しみいただければと思います。
・・・それでは、チャオ。