「確認してください」
声は棚の中から聞こえた。
守衛の声が、遠くで言った。
「先生、四階は三十年前に解体されています。現在、四階は存在しません」
受話器が静かに切れた。
廊下の蛍光灯が一つずつ消える。
私は自分の研究室の番号を見た。
二〇二だった。
匂いは、もう外から来ていない。
ここから出ている。
ケースの蓋が、ゆっくりと内側から押し上げられる。
私は、移した覚えはない。
それでも、もう移っている。
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