私はかなりのオカルトマニアで、昔から怪談噺を蒐集している。そして私は面白い怪談がないかネットで呼び掛けた所、沢山の返信が届いた。その中で、気になる話が一つ届いていた。これは、イニシャルで「Mさん」という方からの返信である。
M「これは、僕が仕事帰りに乗ったバスで体験した出来事です。この日は、仕事がいつもより早く終わり気分転換で普段乗っている電車をやめ、バスに乗って帰る事にしたんです。すると、人はそこそこ居るのに一つだけ座席が空いていました。でも、座席を見ても誰も座らないんです。僕は後ろの方に立っていて、その空いている席は前の方にありました。僕はその座席が妙に気になり前の方へ移動していきました。けれど、座席を見て誰も座らない理由が分かりました。その座席は焦げたような感じで、少しだけ黒かったんです。たまたま、黒い座席の後ろに座っていた人が下車した為、僕は黒い座席の後ろの席に座りました。座ってすぐ眠気に襲われ、僕はウトウトと夢の世界へと引き摺り込まれていきました。どれだけ時間がたったか、目が覚めると外は見知らぬ暗黒の山の中を走っていて、バスの中には喪服を着た女性だけしか乗っていませんでした。その女性はあの焦げた座席に座っていて、どうやら泣いているようでした。ヒックッ…ヒックッ…と音を立てて泣いている。僕は心配になって、『大丈夫ですか?』と声を掛けました。…泣いているんじゃなかった。ヒックッ…ヒックッ…と笑いを堪えていた。そして僕が話かけた瞬間に『あっははははははは!あっははははははは!』と堪えていた笑いが溢れた。そして女性は、全身に謎の液体を被り火をつけました。臭い的に、謎の液体はガソリンだと分かった。周りに炎が燃え移っていって、僕の服にも火が付いた。全身が少しずつ燃えていくのが分かって、でも体が動かなくて、ついに頭にも火が燃え移りました。あぁ、もう死ぬんだな。そう思いました。ゆっくりと意識が遠くなっていく中、最後にとある言葉が聞こえました。『ジゴクデクルシメ…』と。『…お客様?』気づくとバスは終点に着いており、僕は気を失っていた様でした。バスの運転手に起こされ、僕はバスから降りました。終点から自宅まで約8kmありましたが、僕は歩いて帰りました。…確かに見えました。バスの窓、あの煤けた座席に座った、全身が燃え皮膚が爛れた喪服の女性がこっちを見て笑っているのを。もう、僕は怖くてバスには乗れません。」
…随分と長文だ。私はもっとこの話の詳細を知るべく、Mさんに「直接会って話を聞けないか」と連絡をした所、「僕の家の近所なら」と了承してくれた。数日後、Mさんの家の近所のカフェで話を聞ける事になった。
私「体験されたのはいつ頃でしたか?」
M「確か二週間前位だったと思います。」
私「何処行きのバスでしたか?」
M「◯◯行きのバスです。」
私「◯◯行きのバスですか…ちょっと調べてみますね。」
私は鞄からノートパソコンを取り出し、◯◯県内の◯◯行きのバスについて調べてみた。
私「1982年二月◯◯日、◯◯行きのバスにて焼身自殺した女性が亡くなった。女性は母親の葬式の帰りに死んだ…。多分これですね。」
M「はい…。体験した日と多分同じ日付だと思います。」
私「…でもこの女性の遺書は見つからず、バスも自宅・実家とは反対方向だったみたいです。」
M「…なぜ、自宅・実家とは反対方向のバスに乗ったんでしょうか?」
私「私にも分かりませんが、帰ったらもう少し調べてみます。」
この日はその後各々家に帰り、私はこの事件の事をより深く調べた。だが、調べても同じ様な記事しか載っていなかった。そこで私は◯◯行きのバスの運転手に話を聞けないかと思い、件の◯◯行きのバスの終点地点に行く事にした。休日、私は電車に乗って◯◯行きのバスの終点地点に向かう。そして、バスが来て運転手に話しかけた。
私「すみません。1982年二月◯◯日に起こった女性の焼身自殺の件について詳しくお聞きしたいのですが…」
運転手(奥川)「私もよく知らないのですが…」
私「…ですが?」
運転手(奥川)「亡くなったそうです。そのバスの運転手も。というのも、バスは全焼したらしいんですよ。他に乗客が居なかったので特に他に怪我人とか死人は居なかったそうなんですが、あの時何があったのかはサッパリ分かんないですね。あ、でもなぜかドライブレコーダーだけが燃えずに残ってると聞きました。」
私「そのドライブレコーダーってどこにあるんですか?」
運転手(奥川)「◯◯警察署の方で保管されてると聞きましたよ。」
私「…ご協力頂きありがとうございました。」
私はその後すぐに◯◯警察署に向かい、ドライブレコーダーを借りさせて貰えるか聞きに行った。
警察官「一般の方に貸す事は出来ませんね。」
私「…奥川さんに頼まれてきたのですが…」
警察官「あぁ、奥川さんですか。…まぁ良いですよ。でも特に何も映ってませんよ。」
こうしてドライブレコーダーの映像を借りることができたのだが…
私「…途中で切れてる?」
どうやら女性が焼身自殺する直前、何かしらのトラブルが発生しドライブレコーダーの映像が撮られていなかったようだ。特に何も映っていなかったが、念のためMさんにも見せる事にした。
M「…おかしいですね…」

























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