奇々怪々 お知らせ

ヒトコワ

沈丁花さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

その後どうしていたんだい
長編 2026/02/07 21:38 338view

「イノシシなんかは50cm以上穴を掘りやがるでのう、マーの墓の穴を掘るのは大変やったわ。」
と、父は軽快に笑いながら私に語った。
 一方で、私は泪を浮かべながらマーの墓を見て、「もう遅すぎる」と思った・・・・・・。

 去勢をしていないオス猫は気が荒い。
 マーは元々は父の友人のペットで、1歳半の時に私の実家にやって来た。
 その時に獣医さんに相談して去勢をしてもらっていたら、マーの猫生は違うものになっていただろう。不治の病にかかることもなく、もっと長く生きられたかもしれない・・・・・・。

 父はマーを喪ってからすぐに、赤ちゃん猫のスズを購入してきた!母と私はまだペットロスに陥ったままだったので、父親の切り替えの早さに驚愕し、呆れかえった。しかしながら、父はマーの早すぎる死に負い目を感じていたのか、彼から学んだことをスズの為に活かした。彼女は1歳になる頃に避妊手術を受け、座敷猫として暮らしている。

 ペットは見ても触っても温かい。私が育児に悩んでいた時、お隣のメスの犬さんにいつも元気をもらっていた。スズは今や結構なおばあちゃん猫になったが、私の顔を覚えていてくれており、帰省した折にはいつも彼女の温もりに癒されている。そして、若かろうが老いていようが、ペットは人間の心の友――人間の仲間になってくれるのだ。

 人間と共に生きてくれる(生きてくれた)ペット達に、【ずーっとずっと、大好きだよ】と伝えてあげる(時々思い出してあげる)ことがとても大切だと思う。愛を伝えることも飼い主としての真心の一つであり、旅立ったもの達へのなによりの供養にもなると思う。

 文章として間が悪いが、くだんのN夫さんはわざわざ夜にマーの墓を見に来たらしかった。詮索が大好きなこの男は、
「家の敷地内に猫の墓を作るのは良うありませんで。ペットの魂が敷地内から出られえへんから、成仏できへんらしいですに。」
と、わざわざ父方の祖母に伝えに来たと聞いた。ペットネグレクトで嫁いびりのくそじじいが、余計なお世話だ。

 私がN夫さんの猫たちにゴハンを与えている両親に苦言を呈したとき、「なら、あなたの家でスズを飼ったらいいじゃないか」と思った方もいらっしゃるかもしれない。でも、私にはできないのだ。スズは私の大切な友達であるが、彼女にとっての母猫は私の父なのだ。もう一つは、私は両親のように、手厚くスズの面倒をみてやることができない。そして、肌が弱いわが子たちの為にも、スズを我が家で飼うことはできないのだ。

 人間は本当にいい加減な生き物だ――私を含めて、
 愛するものを傷つけたり、我が家に侵入されたりする危険性を考えずに、自己満足のために身勝手な行動をとる。人間のものさしでオス猫をはかり、去勢手術さえ受けさせてやらず、結局ペットを苦しめる。幼く愛くるしい(若く美しい)時だけ大切にして、成猫や成犬になったら(年をとって飽きたら)冷たく棄て去る。

4/5
コメント(1)
  • 沈丁花です。私の趣味の一つは猫さがしです。短編の執筆に行き詰まってしまい、猫のことを考えていたら、長編が出来てしまいました。

    2026/02/07/22:10

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