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心霊

ねこじろうさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

SIGNAL(シグナル)
長編 2026/02/02 08:43 6,631view
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その中に篠原がいた。

元気な頃の姿の彼は湯船に浸かったまま俺の方を見ると、満面の笑みを浮かべながら手招きするんだ。

お前もこっちに来いよと。

※※※※※※※※※※

そして1月最後の日曜日の午後に、俺は実奈と一緒に遅ればせながら初詣に出かける。

自宅近くの小さな神社は人影も疎らで閑散としていた。

手水舎で手を清めた後、薄曇りの空の下参道を二人歩く。

本殿正面へと進むと二人並び立ち、各々静かにお賽銭を投げ入れた。

それから鈴(りん)を鳴らそうと綱に手を掛けようとした時だ。

どこから来たのか一匹の虫がピョンと賽銭箱の縁にとまった。

見るとそれは鈴虫。

実奈が目を丸くしながらボソリと呟く。

「ど、どうしてこんな季節に鈴虫が、、」

鈴虫はしばらくすると、リンリンリンと羽を鳴らし出した。

やがて鈴虫の音は止む。

俺たちは改めて鈴を鳴らし二拍手すると、
合掌した。

その時俺は自分の願い事の最後に篠原のことを思う。

─篠原、成仏してくれよ

それから最後に二人礼をすると踵を返し、
再び参道に視線をやった途端、ハッとした。

いつの間にか境内が暗くなっている。

8/10
コメント(6)
  • そこまででもなかったかな。

    2026/02/03/03:41
  • 実際、亡くなった方の匂いや線香の香りは時々ありますね。

    2026/02/07/11:55
  • コメントありがとうございます
    ─ねこじろう

    2026/02/09/08:36
  • 篠原さんのご病気の末期症状は、人によって痛みの度合いが違うと聞きましたが、緩和ケアの最中に言動が荒々しくなる人もいるそうです。若くして逝かなければならない篠原さんは、とにかく大笑いしたくなる程辛かったのでしょうね。

    2026/02/10/13:58
  • 現実にありそうなお話ですね。お友達の形見だとしても、私も怖いから、このような鈴を飾りたくないな。

    2026/02/10/15:36
  • 人は辛さが極限になると、笑いが出てくるのでは?
    と考えてます─ねこじろう

    2026/03/07/09:50

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