それらが、きれいに、
音を立てないように、
少しずつ、取り除かれていく。
だから家は汚れない。
汚れになる前に、
消されるからだ。
だから家族は同じTシャツを着る。
個性が残る場所を、
一番最初に塞ぐために。
夢の中で、俺は一人の男と目が合った。
最初に俺を拾った、あの男だった。
彼は笑っていた。
だが、あのときよりも、
ほんの少しだけ、表情が薄い。
「楽でしょう」
そう言われた気がした。
否定できなかった。
迷わなくていい。
選ばなくていい。
誰かに必要とされる役割が、
最初から決まっている。
だが次の瞬間、
俺は自分の背中を見た。
道端に立つ俺。
同じTシャツを着て、
同じ角度で親指を立てている。
その顔が、
夢の中の誰よりも、
空っぽだった。
そこで、はっきりと拒絶が生まれた。
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