だが、その光景を見ているうちに、俺は気づいた。
彼らは待っていない。
期待も、希望も、焦りもない。
ただ、立っている。
立たされている、と言った方が正しい。
同じ場所に、同じ姿勢で、同じ表情で。
その顔には、不満も恐怖もない。
だが、そこにあるのは安らぎではなかった。
空白だ。
何かを選ぶ前に、
迷う前に、
後悔する前に、
すべてを削ぎ落とされた顔。
俺はそこで、はっきりと理解した。
同じになる、ということは、
安全になる、ということじゃない。
“危険がない状態”になる、というだけだ。
失敗もしない。
傷つかない。
拒絶もされない。
だが同時に、
踏み外すこともできない。
間違えることもできない。
嫌われることも、嫌うこともできない。
泣き声の正体が、ようやく分かった。
あれは苦しみじゃない。
削られていく途中の音だ。
ずれた感情。
余分な記憶。
役に立たない恐怖。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 16票



























よく考えてみれば、ヒッチハイクってスリリングですが、とても怖い行為ですね。その乗せてくれた人が変な悪戯癖を持ってるとか、若い男性に邪な想いを抱いちゃったとか、小心者の俺は色々と考えてしまいました。