Aくんの様子が明らかにおかしい。すぐにそう感じました。
後になって冷静に考えれば、ドアの前で待ち構えていないとピンポンが鳴ってからあの一瞬でAくんが目の前に姿を現すのは現実的におかしいのです。
見た目背格好は確かにAくんです。でも、AくんだけどAくんじゃない。
様々な違和感に気付けなかった当時ですら、直感はそう告げていました。
「上ガってよ」
Aくんは顔の筋肉をほとんど動かさずに繰り返します。
まるで人間がそうしているから真似ているような、腹部や背中を押すと決まったセリフを繰り返し発するおもちゃを見ているような感覚でした。
ふと、Aくんの肩の奥の方で人影が見えました。
夕日の逆光で上手く見えませんでしたが、シルエットはかなり大きく、手足が長い人型のような何かがそこにいました。
首らしきものは後ろに反るように斜めを向き、蜘蛛のように真っ黒で長い手足の関節をゆっくり曲げていました。
おかしい。私がさっきまでいたリビングではない。
よく見ると廊下も明かりが消えており、さっきまでとは比べ物にならない暗さでした。
リビングからとっさに目をそらしAくんの足元にふと目を移すと、一枚の小皿が置いてありました。
上には砂鉄のような何かが小盛りで一山、乗っかっているだけでした。
その時はその小皿の意味は分かりませんでしたが、ある程度読み物や文化に触れた今では思い出すだけで全身の鳥肌が総立ちします。
置かれている状況の全てが不気味で、目に映る情報の全てが異常そのものでした。
頭は思考をやめ、完全に体が固まって動けないでいると。
ブーッ ブーッ ブーッ























なんだろう….
こわ
解説どこですか