奇々怪々 お知らせ

不思議体験

蓮音さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

おーい
長編 2025/12/13 21:09 730view

「刑事さん、世の中には知らない方がいいこともあるんですよ」
「はぁ? お前何を言って、」
 私がその男につかみかかろうと立ち上がった瞬間、

  おーい 

 小学生くらいの男の子だろうか。誰かに呼びかけるような声が窓の外から聞こえてきた。

「ほら言わんこっちゃない」
「誰だ!」
 私はすぐさまブラインドを指で下げて、窓の下を覗いた。しかし、そこには誰もいない。 

「お前、何か仕込んだのか」
「やだなぁちがいますよぅ」
 妙に間延びした声でその男は答える。ああ気持ち悪い。

「調子乗ってんじゃねえぞ!」
 今度こそ本当に男の胸倉をつかみ上げた。それなのに、こいつは相変わらずヘラヘラと笑い続けている。本当に気味の悪い奴だ。 

「刑事さぁん離してくださいよぉ」
「吐けぇ! お前がやったんだろ!」

「フヘヘヘヘ」

 こいつは明らかに異常者だ。なんの罪もない子供を殺しておいて、平然と笑ってやがる。俺がこの手でムショに送ってやらないといけない。

 「だいたいな、そのおーいって声が何だってんだ!」

 その言葉に、男は徐々に真顔になっていく。

「刑事さん」
「なんだ」
「ほんとうに、ほんとうに知らない方がいいんです」
 男は急に声のトーンを落としてそう言った。目の焦点があっていない。その変わりように少したじろいでしまう。

 「さっきから何を言っているんだお前は!」
「助けてください、刑事さん」
「だから何を言って、」

2/3
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。