柔らかい手が、心臓の裏側に触れた。
肉体じゃなく“心”のほうに。
「やっと中に入れたわ」
“入れた”って、どういうこと?
「ずっとノックしてたのになぁ。
気づかへんかった?」
あたしの心の奥に、
じわじわと誰かの指が沈んでいく。
身体は動くのに、
心だけがつかまれて抜けなくなる。
「なぁ……ええ匂いするわ、お前。
ほんま、ずっと欲しかったんや」
吐息が喉の奥に直接触れた気がした。
頭がしびれる。
思考が溶ける。
優しいはずの声が、
いつの間にか“彼”の声と少し違って聞こえる。
低くて、湿っていて、
ひとの喉から出る音じゃない。
「妹みたいとか言うたけど、あれ全部口実や。
ほんまはな……もっと深いとこ、触れたかったんや」
背中をすべる感触が、
皮膚を通り越し、
精神そのものに貼りついてくる。
「ほら、動くなって。
せっかく繋がってるんやから」
甘い。
怖い。
呼吸するたび、意識が蕩ける。
心の中を掻き混ぜられているのに、
嫌悪よりも先に快楽が走ってしまう。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 23票




























あんまり思いますか:..”.
すごいですね
もう少しだけシチュエーションの細かい説明があったら怖さ倍増ですね。自分が侵食されて
ゆく恐怖ってホラー好きにはたまりませんわ。