「お前の心、ええ味やで。
たまらんわ」
声が、一瞬“人”ではなかった。
濁った呼吸が、胸の内側で鳴る。
あたしの鼓動と同じテンポで重なって、
区別できなくなる。
ああ、このまま……
全部委ねたら、楽になる。
そう思った瞬間、
背骨の奥で小さく警鐘が鳴った。
ここで全部渡したら――戻れなくなる。
でも。
それでも。
あの柔らかい声が囁く。
「なぁ……堕ちてきて。
そのまま、全部、俺だけにしよ?」
胸の内側から笑うその声は、
あたしの影より近い場所にいた。
「ずっと前から見てたからなぁ。
お前が生まれてすぐの頃から――ずっと、横で」
その言葉の意味を理解する前に、
脳が甘さに沈んだ。
最後に聞こえたのは、
優しくて、怖くて、
抗えない囁きだけだった。
「ようやくや。
これでほんまに、お前は俺の“居場所”になれた」
その瞬間、
あたしの心は確かに、
ひとつの影に寄生された。
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あんまり思いますか:..”.
すごいですね
もう少しだけシチュエーションの細かい説明があったら怖さ倍増ですね。自分が侵食されて
ゆく恐怖ってホラー好きにはたまりませんわ。