でも、意外なところで、想像を超えることが起こるなんてな。
あの日、俺は上司に出張を言い渡されて駅にいた。
新大阪に向かう途中の駅でのことや。
しょぼくれた駅やったからな。通過電車ばっかりよ。
んで、ボーッと電車待ってたら、後ろから聞いたことのある声がした。
「戸田さん。お久しぶりですね。」
あの時の、俺の車に勝手に乗っとったスーツの男や。
身体が固まった。ここで来るのかと思った。
なにかしてくるとしても、家だと思ってたから、意外やった。
刺される……!本気でそう思っても、恐怖で動けない。俺は弱虫や。
でも、そいつは刃物の類は何も持ってなかった。
それどころか、”靴を履いてなかった”
その手には、1枚の封筒。
呆気に取られる俺の背後には、通過電車のアナウンスが響く。
「戸田さん。あなたが車を貸してくれないから、こうするしかないじゃないですか。」
「お前、何言うとんね……」
俺の言葉の途中で、ソイツは封筒を俺に押し付けた。咄嗟に受け取ってしまった。
そして、ソイツは、通過電車が来る、線路に向かって身を投げた。
今でも忘れられない。
人間が、
バラバラになる、
その瞬間の、
凄まじい音。
赤黒い血飛沫
飛び散る肉片と、
阿鼻叫喚のホーム
渡された封筒には、
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