え、、誰だ、こいつ?
坂井田はスマホの画面を眺めながら、思わず呟いた。
とある日曜の昼下がり。
彼は自宅のソファーに寝転がりスマホの写真フォルダの整理をしていたのだが、その途中、見覚えのない女の写真が見つかったのだ。
画像はまるで昔の写真のように、全体的に粒子が荒くて暗い。
場所はどこだろう?、、、
どこかの岸辺だろうか?
広大な砂地の彼方に清流が見える。
その砂地の中央辺りに立っている一人の女。
年齢は、、、
30後半?いや40代くらいだろうか。
フリルをあしらったロリータファッションという出で立ち。
足元には携行缶が置かれていた。
煤けたように黒くなった顔で、ただじっと正面を見ている。
そして何より坂井田が動揺したのは、彼女には右耳がなかった。
そこで彼はある女性のことを思い出す。
※※※※※※※※※※
坂井田は今年三十路になる、売れないバンドマン。
ギターとヴォーカル担当だ。
都内にある数ヶ所のライブハウスを掛け持ちし、生計を立てている。
ただはっきりいって生活は苦しかった。
彼は起き上がりソファーに座り直すと、徐に携帯で電話をかける。
しばらくすると繋がった。
「ああ、ミカか?」
「うん」
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