「なにをするの?」
「え、掘るんだよ」
そりゃ掘ることは見ればわかる。てっきり与兵衛にお祈りをして終わりだとばかり信じていたので、ますますミコが何をしたいのかわからなくなってきた。
「まあ、こないだ来たときに見つけちゃったし中も見ちゃったんだけどさ。一応、本郷さんの前で正式に開け直した方がいいかなーって思って」
そう言うとミコは石碑の横の土を掘り返し始めた。五、六回ほど土を掘り起こすと中から赤茶色のブリキ缶のようなものが出てきた。
「お、よかった。ちゃんと埋まってた」
ミコはそのブリキ缶を持ち上げると、私の胸元につきだした。
「はいどーぞ」
その奇行に困惑する私をよそにミコは平然とした顔をしている。私が恐る恐るその蓋を開けると、中には一枚の紙が入っていた。
そこには乱雑な文字で、こう書かれていた。
『彼らは与兵衛を恐れている』
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