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妖怪・風習・伝奇

kkさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

山で遭難して出会った木こりの話
長編 2025/11/06 23:01 23,237view
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俺たちが通された客室と、台所。この三つの部屋しかない。
風呂もトイレも、どこにも見当たらなかった。

「……なんか、変だよな。」
亮介がぼそりと呟く。

「もう戻ろうぜ。あの男に見つかったら――」
そう言いかけたその時だった。

“ペタリ”

足元から、妙な感触が伝わった。
床を見ると、鹿や小動物の皮が絨毯のように敷き詰められている。
だが、その皮の隙間から、鉄の取っ手のようなものが覗いていた。

「……なんだ、これ。」

亮介がしゃがみ込み、皮をめくる。
すると、そこには木の板で塞がれた“扉”があった。
真ん中に古びた取っ手。埃まみれだが、明らかに最近開閉された跡がある。

「……地下、か?」

俺たちは顔を見合わせた。
次の瞬間、心臓の鼓動が一段と速くなった。

亮介が俺を見た。
その目には、恐怖と――それでも抑えきれない好奇心が入り混じっていた。

「……見てみるか?」

「マジで言ってんのかよ……」
「ちょっとだけだ。すぐ戻る。」

台所の方からは、まだ“コトコト”と鍋の音がしている。
男はまだ料理をしているようだ。

俺たちは息を殺しながら、ゆっくりと床の取っ手に手をかけた。
冷たく湿った金属の感触が、掌にじっとりと貼りつく。

「……せーの」

ギィィ……と、錆びた蝶番が悲鳴のような音を立てる。
次の瞬間――

ふわりと、鉄のような臭気が鼻を突いた。
それは血と腐敗が混ざったような、生温い臭いだった。

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