奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

どこかで見た話さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

萱津村
長編 2025/10/11 23:09 4,017view

ある夜、夢にあの場所が現れた。

霧がたちこめる薄暗い山道。
足音は消え、空気は重く、どこからともなく鈴の音がかすかに響いていた。

そこに立つ家々は見覚えがなかった。
人の姿もなく、音も匂いもない世界。

しかし、視界の端で何かが動いた。

それは人の形に似ていたが、違った。
その瞳は空洞のようで、口は動かず、笑っていた。

目を覚ました。
明け方の布団の中。

だが背中に冷たい何かが触れているのを感じた。
それは重く、息遣いさえ聞こえた。

振り返ってはいけない。
強くそう思った。
その冷たい感触が背中に残る数日後、私はついに現地へ向かう決意をした。
あの「かやつ」と呼ばれる場所。
それは地図に載ってはいなかったが、確かに存在していた。

山奥、誰もが避ける古びた神社の跡。
倒れかけた鳥居の奥に、苔むした獣道が静かに伸びていた。

私は一歩一歩、その細い道を進んでいった。

空気が違った。
息を吸うごとに胸の奥がざわつき、周囲の音は吸い込まれるように消えていった。

一人のはずなのに、背後から微かな足音が響いた。

振り返ろうとしたが、体は思うように動かなかった。

しばらく歩くと、視界がぱっと開けた。

そこには小さな村があった。

屋根は低く、木造の家々が肩を寄せ合うように並んでいた。
土の匂いが鼻をつき、どこか懐かしい空気が漂っていた。

人影は見えなかった。
しかし、まるで誰かが「待っている」ような気配があった。

2/6
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。