その日も, 夢の中で友人と二人でエレベーターに乗り込みました. 6階から1階に降りるほんの短い間の会話でも, 私にとっては十分に楽しいものです. いつも通り, 他愛のない話をしていた私達は, 異常に気付くのに遅れました.
いつまでたっても1階に着かないのです. エレベーターの窓から見える景色が変わらない. 私と友人は, 暫く6階に降り続けました. これが夢だと自覚していた私は, あの『猿夢』の脱出方法に倣い, 醒めろ, 醒めろと必死に念じていたことを覚えています.
暫くすると, 私の隣にいた友人が突然消滅し, その瞬間, エレベーターの窓に人影が映りました. 廊下に誰かいる. 階を降りるごとに(といっても, 降りた先も6階ですが), 少しずつ近づいてくる. やばい夢だと流石に理解し, 必死に念じた結果なのか, その日は夢から解放されました.
その日以降, エレベーターの夢だと判断した瞬間に, 醒めろと念じるようになりました. 夢だと判断できず, エレベーターに乗ってしまうことも度々ありましたが, 6階に降り続ける, 際限なく降り続ける, 際限なく上り続ける, 上り続けた先, 降り続けた先で「誰か」が乗ってくる, という程度で, 幸いなことに, 日常生活にはそれほど大きな支障はありませんでした.
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