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妖怪・風習・伝奇

大鷹恵さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

祠を壊した犯人の末路
短編 2025/10/08 17:48 1,322view

彼女の名は宮本イッチ。中卒でペンキ屋に務める女性だ。イッチは壁に掛けられている時計を見ながら、「まだかまだか」と待っていた。なぜなら今日はボーイフレンドの湯栗屋霊夢とデートの日だからだ。霊夢は地元でも名の知れた走り屋であり、シネフィルかつゲーマーで親から引き継いだビデオゲーム制作販売会社と映画とテレビドラマを制作配給する会社を経営しているヤンエグだ。イッチは霊夢から色々とゲームや映画のことを教えてもらったのだ。霊夢を通じて、ゲーマーやシネフィルたちと親友になったのだ。イッチは幼少時から姉から嫌がらせを受け、両親からすさまじい暴力を受けて育っていた(なお、父親はイッチに性的虐待も行っていた)。イッチは中学を卒業すると、すぐさま、家を出て、隣町のペンキ屋で働くようになったのだ(最初は住み込みであったが、今では霊夢の資金援助のおかげでワンルームのアパートを借りられるくらいになった)。そして、仕事が終わり、店の前に一台の日産・サニー(B110)の2ドアクーペが停車する。サニーの窓が開き、霊夢が顔を出す。
「ハローワールド!」
霊夢はにこりと笑いながら、イッチを挨拶する。今日は霊夢の自宅でアリソン・ローマン主演の青春映画「ホワイト・オランダー」と韓国映画「おばあちゃんの家」を見ることになっているのだ。霊夢はイッチをサニーに乗せると、エンジンをスタートさせた。霊夢のサニーはチューンアップを施しているため、峠では負け知らずなのだ。
「実はね。キミの実家近くにある裏山にある祠が何者かの仕業によって壊されたんだよ」
「霊夢。どーゆーことなの?」
「祠は私の手で何とかなったけどね、少し遅かったら「ヤツラ」が復活する可能性があったよ。キミの両親とお姉さんが
「イッチの仕業じゃないか?こんなことをする奴なんてイッチしかいない!」
と言っているんだよ」
またか・・・。イッチはそう思った。霊夢は話を続ける。
「それとキミのお姉さんが結婚するそうだよ。これが結婚式のパンフレットと招待状」

霊夢はカバンから結婚式のパンフレットと招待状を取り出し、イッチに渡す。イッチは眉をしかめた。行きたくないな・・・行かないと両親や親族に文句を言われるし・・・。イッチはそんなことを考えている間、サニーは霊夢の自宅前に到着した。ガレージには見知らぬ三菱・ギャラン(2代目)の4ドアセダンが停車していた。ギャランから男が下りてくる。霊夢は
「どうやら、キミのお姉さんの婚約者のようだね。キミはサニーで待っていなさい。いいね?」
といい、サニーから降りる。姉の婚約者は霊夢に耳打ちをする。霊夢は眉をしかめる。霊夢はポケットから煙草を取り出し吸い始める。

数週間後、イッチは姉の結婚式に参加したが、理由もなくすぐさまたたき出された。イッチは姉に中指を立てる。その時、
「宮本イッチだな?」
と声が聞こえた。イッチは振り返ると警察官らしき男が立っていた。警察官は火村と名乗る。そして
「裏山で祠が壊された事件のことを知っているだろ?あんたに少し話が聞きたい」
という。イッチは火村刑事から事情聴取を受けた。
「あんたはあの祠には何があるのか知っているのかい?」
「知りません」

「そうか、あの祠は「姦姦蛇螺」や「八尺様」といった妖怪を封印するために作られたものなんだ。祠が壊されたら妖怪たちが蘇り、大変なことになる」
「それと私と何の関係が?」
「近隣住民たちはあんたが祠を壊そうとしたと思っているんだ」
「!」
「あんたは知らないと思うが、あんたは元々養子なんだ。あんたの実の母親が厄介な人間だったからだ」
「私が養子・・・」
「それに宮本家があんたを引き取ったのはあんたの母親に復讐するために引き取った可能性が高い。なぜなら、あんたの母親と宮本家は仲が悪かったからな。養父母は
「子供が流産したのはあいつの仕業に違いない!一生かけて復讐してやる!」
と言っていたんだよ」
その時、火村刑事のスマホから着信が来る。
「霊夢か?どうした?何!祠が破壊されたって!ふむふむ、霊夢が再び封印したから何とかなったか・・・」
その時、式場のほうから悲鳴が上がった。火村刑事は式場のほうに向かう。式場にはイッチの祖母の死体が見つかった。祖母の背中にはアイスピックが刺さっていた。参加客は一斉にイッチのほうを見た。イッチは急いで、その場から逃げる。

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