奇々怪々 お知らせ

妖怪・風習・伝奇

大鷹恵さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

「ハカソヤ」を渡しに来た親戚の女性
短編 2025/09/30 17:57 1,115view

「四国に住んでいる親戚と名乗る女性からこんなん貰ったんよ」
オカルトマニアの人妻、菫子は近所に住む高校生、徳間アニスから四国の親戚からもらったお守りを見せられた。
「ちょっと中身を見せて・・・。これ、ハカソヤだわ」
「ハカソヤ?」
「母親から一人前になった娘へと渡す安産の御守りの事で「必ず男性が見ていない、聞いていないところで」という徹底的に男性から隠されて行うのが決まりになっているわ。また、自分を汚そうとする男(ヤリチン、スケコマシ)への呪詛が籠められた風習よ。「悪い風習」でなく「良い風習」とみる向きもあるわ」
「へぇ?菫子さんはオカルトに詳しいのね」
「そりゃあ、ナチュラルボーンオカルトマニアですから」
「それにしても気になるな・・・」
「どーゆー事?」
「私の親戚には四国在住の方はいないのよ。というか、「ハカソヤ」を貰った時に初めて会ったくらいなんだから」
「アニスのご両親も知らないの?」

「うん。四国に住んでいる親戚はいないって」
その時、車のクラクションが鳴った。
「あ、リヒター」
外には78年型シボレー・カマロZ28が停車していた。カマロからアニスのボーイフレンドであるアレクセイ・リヒターが降りてくる。
「待たせたな、アニス」
「あらあら、あなたたちデートなの?二日前に近所のミニシアターで開催された「条理ある疑いの彼方に」と「復讐は俺に任せろ」のフリッツ・ラング監督特集を見に行ったばかりなのに」
「うん。今から大阪で開催される「ジューダス・プリースト」のライブを見に行くんだ!」
「アニスはよく、「ジューダス・プリースト」の曲を聴いているからね。あーそれとリヒター君」
菫子はリヒターを呼び止める。
「んだよ、菫子さん?」
「アニスの御守りの事知っているわよね?」

「四国の親戚の女性から貰った「ハカソヤ」だろ?」
「それで気になることがあるわ。アニスは四国在住の親戚の女性はいないというのよ」
「ああ。俺もそこが気になっていた。一応、アニスの親族関係を知り合いの探偵に調査している所なんだよ。探偵は四国中を食べ歩きをしながら、親族の女性を探しているんだぜ」
「分かったわ、リヒター君。また何か進展があったら教えてね」
「OK。それと旦那は?」
「亭主なら、1週間前に知り合いの車が盗難にあったので捜索している所よ」
「車種は?」
「日産・ラングレー(N12型)の3ドアハッチバック」
菫子との会話を聞いて、アニスは答える。
「それ、私の親戚と名乗る女性が乗っていた車種と同じだわ・・・」
リヒターとアニスがカマロに乗り込むと走り去っていった。菫子はスマホを取り出し、恩師であるK大学の教授に「ハカソヤ」の件を告げる。菫子は自宅にてウイル・スミス主演のSF映画「アイ・アム・レジェンド」を見て過ごした。

1/2
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。