「今から、兄さんたちに紹介させるね」
その言葉に、俺は胸がざわつきつつも、なぜか恐怖よりも好奇心が勝る気がした。
シバに促され、俺は家の中央の囲炉裏の前まで案内された。
囲炉裏の灰は長く手入れされていないようで、黒ずんだまま積もっている。木の匂いと煤の匂いが混ざった空気の中、三人の人物が座っていた。
皆、シバと同じく山伏のような白い袴に白足袋、そして古びた仮面をつけている。
「……こっちが、僕の兄さんたちだよ」
シバの声に、俺はそっと視線を向ける。
まず、天狗の面をつけた男イチダ。
その体はぐったりと力が抜け、まるで生きているのか死んでいるのかも分からないような無気力さだった。
顔は常に傾いており、仮面越しなので視線はまったく読めない。
ただ、少なくとも俺やシバを見ている様子はなく、何もない空間をぼんやりと見つめているようだった。
次に、鬼の面をかぶったニヤマ。
その筋肉は明らかに異常で、他の三人と比べると二メートルはあろうかという巨体だ。
腕や肩の盛り上がった筋肉が動くたびに、白袴が張り裂けそうに見える。
そして、明らかに俺とシバに視線を向けていた。
その視線の重さに、思わず息を呑む。
最後に、翁の面をかぶったミヨシ。
三人の中で一番小柄で、子供のような体格だ。
肩をすぼめ、体を抱きしめるように震えている。
怯えた仕草は、俺が目を逸らせないほどに切迫していて、しかし何に怯えているのかは分からない。
囲炉裏の揺らめく火で、三人の仮面が影を落とす。
その影は不規則に揺れ、まるで人の形をした何かが蠢くように見えた。
俺は喉の奥が乾き、無意識に手を握りしめた。
ここに座る兄弟たちの存在。いや、息づかいですら、どこか現世のものではないように感じられた。
「そうだ!おじさん、一緒にご飯を食べよう!」
シバは楽しげに言い、俺をちらりと見てにっこり笑った。
「ニヤマ兄さんが仕留めた猪があるんだ。今日は猪鍋だよ!
ニヤマ兄さん!運ぶの手伝って!」
すると、巨体のニヤマが無言で立ち上がる。
木でできた太いオタマを手に持ち、もう一方で大きな鉄製の鍋を抱えて移動してくる。
シバは、土で作られたような皿と箸を手にして、何だか幼いような仕草で器用に持ち運んでいた。
























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