……は?
意味がわからない。
声が不明瞭で肝心な部分が聞こえなかった。
だが「後ろを見るな」それだけは聞こえた。
放送が途切れたあと、田んぼ道はさっきまで以上に静まり返った。
虫の声や風の音も止まり、完全な沈黙になる。
後ろの何かに動きはない。声を掛けてみるが反応はない。
また1歩、歩いてみる。
やはり俺の足音のあとにもう1つの足音が響いている。
心臓がうるさいほど高鳴り、呼吸も荒くなっていく。
そのとき、耳が壊れるようなチャイムの後に再び放送が入った。
「…決して…走らないでください…逃げられなくなります…」
全身の血が逆流するような感覚に襲われ、足が急に鉛のように重くなっていく。
走るなと言われてもこの状況で平常心を保てるはずがない。
俺は震える足を引きずるようにしてできるだけゆっくりと歩き続けた。
1歩1歩ごとに背後の足音が近づいてくるのを感じる。
つま先が土を擦るような湿った音が混じり始める。
「…後ろにいます…振り返らないでください」
防災放送の声が今度は真上から聞こえてきた。
ゾクリと背筋が凍る。
俺は反射的に立ち止まって息を殺した。
その瞬間、真後ろで足音がピタリと止まった。
間違いなくその何かは手を伸ばせば俺に届く距離にいる。
耐えきれず、俺は禁じられた衝動に負けて振り返ってしまった。
そこには人間の形をしている何かがいた。
地面に着きそうなほど長い腕に俺の身長よりも長い足。
異様に長い首を昔漫画で見たろくろ首のようにくねらせ俺の顔を覗き込んできた。
その顔は善意も悪意もない、文字通り何を考えてるかわからない。
眼球をくり抜かれているその目だけはしっかりと俺を見つめていた。
「振り返らないでください」
大きく開いた口から聞こえてくるのはあの防災放送。

























こわぁー
とても怖くて久々にゾクッとしました!!これからも怖い話をとても期待して待っておきます!!
怖すぎて夜外出ようとおもわなくなった
怖すぎ
こわい
こわくねぇし、