足跡

この話は不動産仲間から聞いた話です。

「変な事が起きたんですけど」と電話が来たのは先週に賃貸が決まり入居した女性の

　方からでした。

「お化けとかじゃないんです。とにかく変なんです」と言われ賃貸した部屋に伺いました

２０代の女性の方の部屋ですので、念のため女性スタッフも連れて見に行きました。

部屋に案内されて入るのですが、きちんと片付けも掃除もされてて特別不自然な点も

ありません。

1人でお住まいですので和室は物置のようになっています。

「なにか起こったのですか？」と部屋を見回しながら聞くと「これなんです」と絨毯を

指さします。新しい絨毯ですのでベルベットのように毛並みが見えるのですが

「ここ・・足跡がこっちの和室に続いてて」

「誰かが入ってる？んですかね」と不動産屋が嫌な気持ちになって聞くと女性は

「違うんです」と足跡をたどって隣の和室に行くと「ここで消えてるんです」

と押し入れの前に両足の足跡を指さします。

「え？・・ほんとだ」女性スタッフがもう一度辿って来て

「あの。戻った足跡が無いんですけど」と怖そうに報告して来ます。

「それに、洋室の私のベットの上を通過してるように見えません？ここ」

女性のベットを通過して足跡は洋室から居間を周り和室に入って押し入れの前で消えて

いるんです。

押し入れの扉の前に立って「開けてみますよ」と開くと別になにも無い

天井もきっちり塞がってる。

もう一度、三人で足跡を辿ると、洋室の壁から始まる足跡がトコトコとベットの上を横切り

居間のに出て隣の和室に続いていき押し入れの前で消えている。

「この最後の両足ですけどね。ここで立ち止まって消えてるような感じですよね」

「帰る足跡が無いのが不思議ですね」

ここで不動産屋は大家さんに電話をした。事情を話すと部屋まで来てくれると言う

大家さんが到着する間に足跡をいろいろと検証してみる。

小柄で子供のような足跡だが一歩の間隔は子供ではなさそう、女性のようだ。

電話して来た住んでる女性はさして怖がらずに一緒に足跡を検証している