なんど見ても、洋室の壁側から始まっている「右足からだ」と最初の足跡を見つけた
そこに大家さんの女性がやってきた。
事情をもう一度説明すると「見せてください」と部屋に入り、壁から始まる右足の跡
から居間に入り和室の押し入れの前の両足の跡まで辿る
暫く大家の女性は考えると「これはきっと・・母です」と言う
三人同時に「え??」と大家を見つめると
「この部屋に住んでた母だと思うんです。洋室のベットで寝てたんですけど、それが
あっちの壁際で・・起きて和室の押し入れの前に衣装ポールがあって、そこで着替えて
て言う生活していたんで、きっと母です。ご迷惑掛けました」と借りた女性に頭を下げて
「お引越しの費用は私が出しますので・・」
そう言うと、もう一度大家の女性は洋室の足跡を撫でるように触り、亡くなった母親が
こういう痕跡を残してくれた事が嬉しいような態度で押し入れの前の両足の足跡をいとしそうに
眺めるのだった。
不動産屋も女性スタッフもなんとも・・どう声を掛けるべきなのか困ってしまう
「あのう・・」と賃貸の女性が大家に声を掛ける。
「お母さまはいつ頃お亡くなりになったのですか?」と聞くと「昨年の9月です、病院に搬送
したのですけど結局手術室が空いてなくて、転院場所を探してるうちに手遅れになりまして
ね。それでこのお部屋を綺麗にリフォームして貸し出したんです」
「別にわたし、こういうの怖くもないのでこのまま住んでもいいですか?」驚くべき事を女性
が言う
「大丈夫なんですか?」女性スタッフが驚きながら聞くと
「うん、だってね。最初に足跡見つけた時にカワイイて思っちゃったし、なんならベット
動かしてあげなきゃとか考えたから」
「いやあ・・大家さんも言ってることですし、どこか別の物件をご紹介しますよ」と不動産屋
が言っても「また引っ越すの面倒だからここでいいです」と言うのだ。
結局、大家の女性から二万円の家賃値引きを貰い、大喜びでこの女性は住んでる。
時々、女性スタッフが電話して様子を聞くが、あれ以来足跡は現れないらしい。
でも、部屋でくつろいでいると、なんとなく近くにお婆さんがいるような気がするんです
全然怖くないしニコニコ笑って座ってるような想像しか出来ないから問題ないと。
























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