「ねえ、私、綺麗になったでしょ?」
やばい、頭おかしいやつだ。
Aは女がカーテンを開けて来やしないかとヒヤヒヤしながらも、撮影が始まってしまったので仕方なく女を無視して写真撮影を終えることにした。
何度かシャッターが切られる。
撮影が終わってAがカーテンの下を見ると、さっきの女の姿はなくなっていた。
ああ、よかった。
どっか行ったか。
プリントする写真を選び、写真機から出て、現像が終わるのを傍らに立って待つ。
きょろきょろ周囲を見やるが、女の姿はない。
正直こんな夜中に頭のおかしい女に出くわしたくはない。
写真を受け取ってさっさと帰ろうと思っていた。
「ねえ、私、綺麗になったでしょ?」
突然またあの声が聞こえ、Aは「わ!」と声を出してしまった。
どこ?どこにいる?
次の瞬間、写真機のカーテンがいつの間にか閉じていることに気づいた。そして、その下から赤いスカートと白い脚、赤い靴の姿が目に入った。
Aは声にならない悲鳴を上げ、ちょうど現像されて出てきた写真をひったくるようにして取ると、ダッシュでその場を離れた。
シャッターの閉じた、廃墟のような無人の商店街を猛ダッシュで駆け抜ける。
決して振り向かず、Aはひたすら家に向かって走った。
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伊集院の怖い話によく似てるなあ