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心霊

籠月さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

探し出す
長編 2025/08/23 22:53 13,032view
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その日の帰り道、母からLINEで帰り道のスーパーでのおつかいを頼まれた。
カレーに入れる鶏肉とたまねぎを買うだけなのですぐに見つかり、カゴを抱えてレジに向かっていると、突然店内のBGMが止まり、少し間を置いて館内放送を知らせるメロディーが店内に響いた。
“お客様のお呼び出しを申し上げます。Aくん、Aくん、お父様がお待ちです。レジ横のお客様カウンターまでお越しください”
僕を呼び出す放送だった。
ただそれが父親ではない事は僕が一番分かっていた。
僕の家は母子家庭だ。
お父さんは小さい頃に事故で亡くなって、今は僕と母の二人暮らしだった。
地元のスーパーはそんなに大きい規模ではない。
並んでいるレジの少し向こう、距離にすればほんの10メートルにも満たない先にお客様カウンターが見える。
怖くなった僕は商品の入ったカゴをその場に置いたまま店から駆け出した。

その日のカレーは肉無しだった。

あのおじさんと出会って以来、僕はずっとあの道を避けて遠回りをして帰っていた。
この日も家の前まで着くと、ちょうど向いの家の門からおばさんが「ちょっと」と声をかけて来た。
このおばさんは、普段から母も含めてご近所付き合いのある優しいおばさんだ。
『Aくん、今日お母さん遅い日でしょ?さっき家の前に怪しい人いたから声かけたんだけど、Aくんがこの家に住んでるかニコニコしながら聞いてきたのよ』
直感であのおじさんの事だと思った。
それと同時にもう家までバレてしまったのだという恐怖心が込み上げて来た。
『警察呼ぼうかとも思ったけど、私がそんな子知りませんって言ったらすごく怖い顔してどっか行っちゃったから心配でAくんここで待ってたのよ』
今日は母が仕事で遅い為、母が帰ってくるまでおばさんの家で過ごすように促され僕もすぐそれに従った。
その日の夕飯はおばさんの家でご馳走になった。

次にまたあの男が来たらすぐに警察を呼んでやるというおばさんを見ながら、これまでのBくんや先生とは違って頼もしさを感じていた。

次の日の帰り道、家の近くまで来ると何やら人が集まっていた。
人混みの奥で赤いランプもチラついている。
警察だった。昨日のおばさんの家の前で止まっている。
きっとあの男がまた来ておばさんが通報してくれたのだと思った。
集まっていた人に何があったのかを尋ねた僕は呆然とその場に立ち尽くした。
おばさんが死んだのだという。
すごい音を聞いた隣の住人が駆けつけた所、首から血を流して倒れているおばさんを見つけたのだ。
『夕飯作ってる時に転んで、喉に菜箸が刺さっちゃったみたいよ…』
口を開けて菜箸が突き刺さっているおばさんの顔を想像して血の気が引いた。
その日は母と同じ部屋で就寝したが、とても眠れなかった。

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コメント(4)
  • 想像してみたらやばい

    2025/08/31/20:34
  • ちゃんと謝ろう

    2025/09/02/16:03
  • 怖いけどなんでオバサンが死んでお母さんも取り込まれたのに逃げるだけでちゃんとは謝らないの?

    2025/09/03/11:55
  • 怖すぎるて寝れん

    2025/09/08/15:53

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