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心霊

沈丁花さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

墓場で待つもの達(第二章) ※加筆修正版
短編 2025/08/19 22:55 1,311view

 

 父方の先祖の右手側には、3~4基、別のお家の墓がある。その先には、東を背後にした墓が6~7基ある。その6~7基の墓所の正面は、砂利の通路でもある。以前からその通路を霊が1体か2体歩いているのには気づいていたが、その日は雨天のためか、7~8体ぐらいの【この世のものではないひとびと】がふわりふわりと歩いているのを見た。

 かれ等はすれ違う際に相手と身体のどこかをぶつけ合っているのに、みな無表情のままで歩いていた――相手に肩や腕を打ちつけても全く衝突音がせず、砂利を踏む音さえ立てずに。かれ等は行き止まりの石壁までたどり着いたら、踵を返し、またほよほよと逆方向を歩きだした。その際に石壁の中にすうっと入りこんでいく者もいれば、石壁の中から新たに出てくる者もいるように見えた――なにせ、いつのまにか【さっきまでいなかった筈の女性】が歩いており、目を離した隙に【別の男性】が歩いていたりしたのだから。勿論、その歩く霊達の数が増えたり減ったりしているに見えた。

 あの霊たちは、いったい何のためにあの狭い通路を行ったり来たりしていたのだろうか。
 その、世にも恐ろしい光景を私はなるべく見ないようにしていたが、どうしても霊たちの様子が気になってしまう。そのうち、1~2体の霊が私の方に目を向けようとしていた。その霊たちのお顔はまるで赤みというものがなく、冷たささえ感じるような無機質な白色だった。そして、その眼窩まで、まるで生気が感じられない白色だった――黒目がなかったのだ!私は背筋が凍りつくのを感じ、わき目もふらずにその場から逃げ出した。もしかしたら、慌てふためいて逃走する私を、かれ等は無表情のままで墓場から一斉に凝視していたかもしれない――。

 

 

 

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コメント(3)
  • 沈丁花です。やや説明不足の箇所がありましたので、一部加筆・修正をしました。

    2025/08/20/10:22
  • 沈丁花です。この作品を作った際に見出し画像を大変迷ったのですが、「お日さまが濃い灰色の雲に覆われていく画像」の方が最終段落の内容にマッチしていると感じましたので、変更させていただきました。また、より読みやすい文章にする為に、段落の隙間を大きくし、一部の文を修正しました。これまでこの作品を読んでいただいた416名の皆様、大変失礼いたしました。

    2025/08/21/21:20
  • 沈丁花です。もう一度加筆修正をしました。

    2025/10/01/11:50

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