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その日の夕暮れ、集会所に戻ると霧島先生から1通のメールが届いていた。
【至急戻れ。神谷村の“ミマツリ”は、偶数人数の訪問者を条件として再起動する。
それは“神人”に均衡を捧げる儀式で、訪れた者は自動的に“候補”にされる。
最悪の場合、全員が贄となる。
梶尾を信じるな。】
俺たちは顔を見合わせた。
「……梶尾婆、昨日『儀式には“4人”必要だった』って言ってなかったか?」
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その夜、俺は谷本の叫び声で目を覚ました。
彼女の背中に、手の形をした火傷のような痕が浮かんでいた。
しかも、それは**“7本指”の手形**だった。
「もう入られかけてる。たぶん、私、石田の次」
谷本は笑った。でも、その顔は明らかに“誰かの表情”だった。
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「……でも、1つだけ、見えた」
彼女は震える声で言った。
「“神人”は――もともと“人”だった。
儀式で神にされた、ただの女の子。“あや”が最初の神人だった」
「じゃあ……喰ってるのは“神”じゃない、あや本人ってことか?」
「ううん。“喰ってる”のは……“あや”を使って、誰かが生き延びてる」
「“あや”はただの器。誰かが、今でも祭を終わらせないように……」
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そのとき、集会所の外から、少女の声がした。
「あそぼう、いっしょに」
「みまつり、まだ おわってない」
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