夜中に目が覚めたのはトイレに行きたいからじゃなくて、物音と話し声がしたからだった。
それは小さなひそひそ声だったけれど、なぜか僕の耳にははっきりと聞こえた。
「どうする?」「誰がやる?」「バレないように計画を進めなければ……」
眠い目をこすりながら僕はゆっくり体を起こす。
「……誰?」
返事はない。
シーンっていう音が聞こえそうなくらい静まり返っていた。気のせいかな? 寝ぼけてたのかな? それとも外で誰か話してたのかな?
部屋を見回してみるけれど誰の気配もない。
夢でも見てたんだろうなと僕は再び眠りにつく。
次の日も次の次の日もやっぱり僕は話し声で目を覚ます。
やっぱり誰かいるんじゃないだろうか。
もしかしたらお化けかな?
僕はよく友達から変わってるねって言われるんだけど、お化けが怖くないんだ。むしろ一度会ってみたいくらい。
だって、お化けだって生きてるときは人間だったんだし、きっとお話できるはずだから。いつかもし会うことができたら、そのときは色んなことを訊きたいんだ。
普段は何をして過ごしてるの? とか、フワフワ浮いてるのってどんな気分? とか。
でもお化けはなかなか現れない。
そんなことが一週間くらい続いてから、とうとう僕はその声の正体を知る。
声の主は僕の持っているおもちゃやぬいぐるみだった。
いつもはガバっと勢いよく起きて、それと同時に静かになっちゃってたから、この日は寝たふりをしたままそっと覗いてみたんだ。
ロボットの人形を中心に、半円になってクマとか動物のぬいぐるみたちは腕を組みながらあいづちを打ったりしている。
最近はもうすっかり遊ばなくなってしまったけど、何年か前までは毎日遊んでいたクマたちは、ところどころほつれたり、ボロボロになってしまっている。でもぬいぐるみだから痛みはないみたい。だって痛そうにしてないから。
特に、幼稚園に通ってたときに買ってもらったクマは、中から綿が出ちゃってる。たくさん遊んだからな。
どのぬいぐるみもおもちゃも、たくさんたくさん思い出がある。
でも、いったいどんな話をしてるんだろう?
僕は寝たふりをしたまま聞き耳を立てる。
「用意は整ったのか?」「まだ足りないものがある」「あれがないと」「誰が調達するんだ?」
そんな感じで作戦会議が進んでいく。
僕はドキドキしながら、いったいなんの作戦を立てているんだろう? って、布団をかぶったまま想像してみる。
どうやらロボットが司令官になって、みんなに命令してるみたいなのだ。他のみんなはそれに従ってる。
ちょっと思ったのは、なんかこれってまるで僕が王様で、みんなが僕の王国のために頑張ってお仕事してくれてるみたいで、ちょっと嬉しい。






















悪夢のトイストーリーといった感じがする。
怖すぎだろ。まぁおもちゃは大事にってことですね。
こえええええええええ
普段遊んでいるおもちゃはこんな思いをしているのかとわかりました。にしてもとっても怖いですね。