トンネル内部に再び水の滴る音が響く。
「おい!あれ……」
Cがゆっくりとトンネルの先を指差した。
「誰かいるよな?」
どれくらいだろうか、二十メートルは無いと思うがトンネルの出口付近。そこに手拭いを頭につけ農作業姿をした人の様な者が立っていた。
「……人だよな?え。農作業の帰りとか?」
「あれじゃね?車のライトの光が見えたとか俺達が騒いでてうるさかったから注意しにきたんじゃね?」
Bが車から降りようとドアノブに手をかけた。
「おい待て!出るな!なんでこんな真夜中に農作業なんてしてるんだよ。しかも村ってこのトンネルからまだ結構距離あるんだろ?だったとしたらこんな所に人がいるのはおかしいだろ」
Aの発言に皆黙り込んだ。
「いやもう人でも何でもいいからさっさと帰ろうぜ」
Cが再びBを急かしエンジンをかけさせようとするがやはり鍵が回らない。
「おい!ヤベェって!」
Aが叫ぶ。
さっきまで一人立っていただけだったのだが、その農作業姿の人の後ろからゾロゾロと同じ格好をした人達が現れ始めた。
「うわぁぁぁ!」
Bは焦りながらガチャガチャと鍵を回す。
「ロックかかってんじゃねーか?ハンドルロック!」
私がそう叫ぶとBはハンドルをガタガタと動かしながらキーを回した。
キュルキュル。ブーン。
エンジンが始動し、Bはアクセルを踏み込み急いでバックしてトンネルを出た。
トンネルの入り口でUターンし全速力で来た道を走り出した。
「いや、まじでヤバかったな。幽霊か人か分からないけどここまでハッキリ見えたの初めてだわ」
Cが興奮気味に喋り出した。
「なんかゾロゾロ出てきたしあのままあそこいたらヤバかったかもしれないな」
各々がさっき起こった出来事を振り返り話し始めたのだがBが全く話さない。
「おいBどうした?え?お前もしかしてビビってんの?」
さっき茶化されていたCがお返しとばかりにBを煽り始めた。私達も笑いながら聞いていたのだが、Bが一切反応を示さない。コーナーも多い山道だというのにスピードもかなり出している様に感じる。
「おいB。いくらなんでも飛ばしすぎじゃ無いか?もう大丈夫だからスピード落とせよ。こんな所で事故ったらそれこそ洒落にならねーよ」
Aが声をかけるが相変わらず反応を示さずスピードを上げていく。


























ザこわい話って感じ