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呪い・祟り

期待の新人さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

無人島
短編 2025/07/05 21:47 2,723view
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「探してないよ。回転寿司にも行かない。今日は家でゴロゴロしてたい気分なんだ。」

 私がそう言い放つと、父は驚いたような顔をした。それすらも機械的な顔の動きだったが。

 私は乾いた目を潤すために瞬きをした。
 
 そして目を開けると同時に、見開いた。ヒイ…という声が無意識のうちに出てしまった。

 目の前にいたのは父ではなかった。色白で、白目がなく、ロングヘアで、目が頬に差し掛かるほど大きく、血の気がない、老いた女性。とてもこの世のものとは思えなかった。瞬きをするコンマ数秒にも満たない時間の間に、こいつは姿を変えた。

「ぼうや、おばちゃんのこと探してたんだろう。
ほら、回転寿司に連れていってあげるよ。
ぼうやのパパもママも、にぃにもバァバも、

そこにいるよ。」

「あ、あの…おばちゃん、誰ですか…」

「ぼうや、おばちゃんのこと探してたんだろう。
ほら、回転寿司に連れていってあげるよ。
ぼうやのパパもママも、にぃにもバァバも、
そこにいるよ。」

「あの、ここら辺に回転寿司はないですけど」

「なんだい、いつも窓から不思議そうに見ているじゃないか。回転寿司を。
島から見える、絶景が楽しめるんだよ。

ぼうやのパパもママも、にぃにもバァバも、
そこにいるよ。」

「島に浮かんでいるのは神社じゃないんですか」

「…。ほら、ゴタゴタ言ってないで、早く来るね!」

 その老婆は強引に私の手を掴み、外へ連れ出そうとしてきた。しかし私はその手を振り解き、祖母の部屋にある祖父の仏壇まで駆けた。必死に助けてくれ、助けてくれと祈った。
 老婆がゆっくりとこちらへ歩いてくる。コツ、コツ…と。しかし、部屋の直前でその足跡は消えた。

 私は眠るように仏壇の前で気を失ってしまった。それからは、あまりよく覚えていない。

目が覚めたらあの時のように、家族がリビングにいた。でも今回は前回のように、無視されることはなかった。神社の話題を出さなかったからだ。

ふと窓の外に目をやると、神社は島ごと消えていた。

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