奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

真代さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

結末
長編 2025/07/01 10:55 31,051view
4

まあまあ、話は最後まで聞いてくれ。
ここからちゃんとおかしくなるから。

それからしばらくは、ちょっとだけ、毎日が楽しかった。

みんなから尊敬の目で見られて、

感謝状と新聞が部屋に飾られてさ。

それを見る度、自分は価値のある人間だ。って、信じられたんだ。

渋沢も元気になったらしく、家に来て感謝してくれた。

相変わらず、ふてぶてしいおっさんだな。と思ったけど、意外と紳士的な人で、高い菓子持ってきてくれたな。

でも、あの笑顔、今思えばちょっと怖かった。
言葉では上手く説明できないんだけど……

目の奥が笑っていないと言うか、笑顔の中に、ほんの少しだけ闇があるというか……

まあ、今思えば、なんだけどね。あの時は何も思わなかったよ。普通に嬉しかったし、全て誇らしかった。

でも、ある日の夜から、それが少しづつ狂って、壊れていくんだ。

渋沢が家に来てからしばらくして、夜、夢を見たんだ。

夢の中で、俺はいつもの土手に座って川を眺めてた。

時間は夜。少し星が見えて、川が流れる音が心地いい。

月明かりが川に反射して、キラキラしてた。

でも、横から視線を感じるんだ。

横を見ると、女がこっちを睨んでる。その隣には子供もいて、そいつももれなく俺を睨んでた。

女は五千円札の樋口一葉に似てた。

子供は鈴木福に似てた。

一葉の肌は荒れていて、唇はカサカサ。
福も痩せていて、病的に白い肌。

なんでこんな細かい所まで覚えてんだって思った?あ、別に思わない?まあいいけど。

なんでっていわれたら、目が離せなかった。としか言いようがない。

一葉と福に睨まれて、体が硬直したんだ。2人とも、本気の殺意が籠った目をしてた。ただただ怖かった。

目が覚めたら、汗びっしょり。シーツ絞れるんじゃね?ってくらい。

いやぁ、怖い夢見たなあって思って、最近ちょっと調子乗りすぎたかな?なんて、気楽だった。

でも、それから毎日同じ夢を見るようになって、気楽ではいられなくなった。

毎晩毎晩、地獄だった。
しかも、日に日に女と子供の体にアザが出来て、それが増えてくんだ。

3/7
コメント(4)
  • そんなこと考えるな!生きろ!

    2025/07/01/18:48
  • とてもリアルで、すごく怖いお話でした。

    2025/07/03/21:26
  • しぬなななななななななななななな

    2025/07/07/13:27
  • とてもスリルでした。

    2025/07/10/07:45

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。