まあまあ、話は最後まで聞いてくれ。
ここからちゃんとおかしくなるから。
それからしばらくは、ちょっとだけ、毎日が楽しかった。
みんなから尊敬の目で見られて、
感謝状と新聞が部屋に飾られてさ。
それを見る度、自分は価値のある人間だ。って、信じられたんだ。
渋沢も元気になったらしく、家に来て感謝してくれた。
相変わらず、ふてぶてしいおっさんだな。と思ったけど、意外と紳士的な人で、高い菓子持ってきてくれたな。
でも、あの笑顔、今思えばちょっと怖かった。
言葉では上手く説明できないんだけど……
目の奥が笑っていないと言うか、笑顔の中に、ほんの少しだけ闇があるというか……
まあ、今思えば、なんだけどね。あの時は何も思わなかったよ。普通に嬉しかったし、全て誇らしかった。
でも、ある日の夜から、それが少しづつ狂って、壊れていくんだ。
渋沢が家に来てからしばらくして、夜、夢を見たんだ。
夢の中で、俺はいつもの土手に座って川を眺めてた。
時間は夜。少し星が見えて、川が流れる音が心地いい。
月明かりが川に反射して、キラキラしてた。
でも、横から視線を感じるんだ。
横を見ると、女がこっちを睨んでる。その隣には子供もいて、そいつももれなく俺を睨んでた。
女は五千円札の樋口一葉に似てた。
子供は鈴木福に似てた。
一葉の肌は荒れていて、唇はカサカサ。
福も痩せていて、病的に白い肌。
なんでこんな細かい所まで覚えてんだって思った?あ、別に思わない?まあいいけど。
なんでっていわれたら、目が離せなかった。としか言いようがない。
一葉と福に睨まれて、体が硬直したんだ。2人とも、本気の殺意が籠った目をしてた。ただただ怖かった。
目が覚めたら、汗びっしょり。シーツ絞れるんじゃね?ってくらい。
いやぁ、怖い夢見たなあって思って、最近ちょっと調子乗りすぎたかな?なんて、気楽だった。
でも、それから毎日同じ夢を見るようになって、気楽ではいられなくなった。
毎晩毎晩、地獄だった。
しかも、日に日に女と子供の体にアザが出来て、それが増えてくんだ。





















そんなこと考えるな!生きろ!
とてもリアルで、すごく怖いお話でした。
しぬなななななななななななななな
とてもスリルでした。