「三回っていうのは、結界の外からの合図なんですよ。
でも四回目になると、境界を越えたということです。入ってますよ、もう」
──入ってる?
帰り道、ずっと部屋に戻るのが怖かったけど、
逃げるわけにもいかなくて、そっと玄関を開けたんです。
……誰もいない。
でも、空気が重い。なんか、部屋の中がぬるいんですよ。
靴を脱ごうとしたとき、
後ろから──「コッ、コッ、コッ、コッ」って。
玄関の内側から。
ノックされたんです。
そう、内側。
つまり俺が、今いる場所から──奥に向かって。
音のした方を振り向くと……
クローゼットの扉が、少しだけ開いてました。
薄く……ほんの数センチ。
中から、白い指が──見えてたんです。
四本だけ。ドアの隙間に沿うように……べったりと。
震えながら、後退りして、スマホで写真を撮った。
ライトも点けずに。何が写ってるか、怖くて確認もせずに。
翌朝、明るくなってから、ようやくスマホを開いたんです。
写ってました。
開いたクローゼットの隙間から、白い女の顔。
ひたすらに無表情で、こちらを見ている。
それ、今でも残ってます。
画像データの中に、消しても消えないやつが──一枚だけ。
……ノック、聞こえてませんか?
後ろから。
「コッ……コッ……コッ……」
三回だったら、まだ大丈夫です。
──四回目が来たら、気をつけてください。
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怖っ
ゆゆめに出てきそう
やばい