「ええっ・・・?」
男は驚き困惑していた。その男が人間のような態度を示したのはこの時だけだった。
「お願いします。あくまであなたが教えられる範囲内・私に理解できる範囲内でけっこ
うですので。どうかお願いします。」
渋るその男をその後も拝み倒すように説得し続け、ちゃっかりと条件をさらに加えるこ
ともして以下の条件にまとまった。
1、最低一年間全てのことを公表しない
2、その日曜日がいつであるかは公表しない
3、不特定多数の人間に話すのも構わないが、あくまでも「実話」ではない「物語」の
体裁を取るようにする
この条件を呑んでもらったところで自分は男の右手を強引につかみ握手をしてしまっ
た。
「それではお願いします。なぜ日曜がなかったのか教えてください。」
「・・・一言で言えば変更の過程でエラーが発生してしまった。そういうことですかね。」
「・・・エラー、ですか?」
「とは言っても、この世界が存在しないというわけではありません。ただ管理上の問題
が生じたということです。これ以上はこの世界の方には概念的に理解できないかと。」
「いえいえ、十分です。約束は守りますのでどうぞご安心ください。」
「そうですか、ではこれで失礼します。」
「ありがとうございました。」
自分は思わず深めの礼をして男を送った。角を曲がった先には男はいないであろうことは
何となくわかったので見に行くこともしなかった。
自分は自宅に帰ろうとしたところで、30分歩いてきたことを思い出し、あの男が家の前に
出てきてくれれば良かったのにと思い、なかばヤケで電車とバスで帰った。
あの日から四日後、職場でパソコンを調べると、シフト表の日曜日の列は隊長以下全隊員
の勤務と休みが正常に入力されており、あの日曜のからむ警備日誌のデータも保存されて
いた。何よりも全隊員の日曜日の記憶も「戻って」いた。

























怖いような不思議なような。リアルで面白かった
世にも奇妙な物語でありそうな話。
これは本当は実話で、『物語の体裁』を取った結果、こうなったのでは?