「もしもし・・・。」
「はい?」
「あなたは日曜日がなかったことを調べておられるようですが、それはご遠慮いただ
けませんか?」
「はい?」
声をかけてきたのは、年の頃30から40くらいに見えて黒の上下に黒いネクタイに黒
の帽子(山高帽かソフト帽かは良く覚えていない)という、映画で見たメンインブラッ
クか何かのような男だった。
何より不思議なことに顔の造作が正面から見てもよく見えなかった。思い出そうとし
ても目が二つ・鼻が一つ・口が一つといった記憶しか残らなかった。
どうみても怪しい男だったが、ちゃんと話をしなくてはいけないような気がした。
「ひょっとして日曜を消した方ですかね?」
「消したというか、結果的にそうしてしまったということになりますかね。」
男の態度は人間味はなかったが、かといって冷たくはないという変わった物腰だった。
「こう言っては何ですが、日曜を消せるくらいなら私一人を消すぐらいできるのでは?」
「まあ、それも可能なんですがそうするといろいろと面倒でして。すでに複数の方が日
曜がなかったことに違和感を感じているのですが、ちゃんと調べようとしているのはこ
の世界ではあなただけなんです。そしてあなたはこの二日間でその事実を周囲の方に認
識させてしまっています。これをすべて修正するにはかなり手間がかかりまして・・・。」
「よくわかりませんが、そうなんですか・・・。」
「そこで是非とも三日間でけっこうですので、日曜がなかったことを調べるのも他の人
にそのことを認識させるのもやめていただきたいのです。」
「三日間でいいんですか?」
「はい、それだけあれば修正が完了します。それ以降ならあなたが調べても、誰かに確
認しても何も問題なくなります。」
自分はこう言われてとても不思議な気分に陥っていた。この男の言葉には従わなくては
いけない。それはわかっている。しかし、何か少し逆らいたい。というか、条件をつり
上げたいとそういう気分になった。
「そういうことなら、こういうのはどうでしょう。私は最低一年間は絶対に口をつぐむ
と約束しましょう。そのかわり今回の件の原因について教えていただき、なおかつ一年
後以降なら今日あなたと話したことも公表していいということにするのは?」
























怖いような不思議なような。リアルで面白かった
世にも奇妙な物語でありそうな話。
これは本当は実話で、『物語の体裁』を取った結果、こうなったのでは?